「慈悲の意(こころ)」
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正道大慈悲、出世善根生
天親菩薩『無量寿経優婆提舎願生偈』より
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2009年度から介護報酬が改定されました。介護事業者へ支払われる介護報酬がようやくプラス改定されました。敢えて「ようやく」と記したのは、今まで介護福祉事業界はその厳しさにもかかわらず、国からは比較的冷たく扱われてきたというのが実態だからです。
比較的どころではないとおっしゃるムキもおありかと思いますが、とにかく現場の過酷な労働にもかかわらず、支払われる報酬は他の業界に比べて確かに低い状態が続いています。一般的に2割ほどは低いと言われています。
したがって、現場で働く人の定着率も低く人材難にあえいでいるのが実情です。ただ、わが愛知育児院においては、そういった点では恵まれていて、他の施設に比べて定着率はよいようです。一つには、優秀な人材に恵まれてスタッフ間のチーム・ワークが優れていることに起因していると思います。
そして、もう一つの要因は、120年余の仏教精神に基づく伝統と充実したハード・ウエアでしょう。加えて、特別養護老人ホーム南山の郷が、ケアハウス南山の郷、児童養護施設南山寮、そして南山ルンビニー保育園との複合施設であることも相乗効果を生み出し、イメージ・アップに寄与していると思われます。
今回の介護報酬改定で、どこの介護福祉施設も受け取る報酬が3%アップするわけではありません。いわゆる傾斜配分になるようで、例えば、専門性の高い有資格のスタッフの充足率が高い施設には加算が大きいとか、有資格者スタッフの定着率が高いとか、その他いろいろなファクターによって加算・減算する方式のようです。
定着率については、3年以上が加算対象とのことですが、わが特別養護老人ホーム南山の郷においては8年。その他、重介護度高齢者の受け入れ等々の加算点もカウントすると、施設長の試算ではわが施設はアップ率がかなり高く、いい線にいく模様。ただ、このたびの改定でサービスによっては利用者さんの負担増につながる場合もあって心配ですが、動き出してみないと分からないのが実態です。
一方、今回の介護報酬改定で認知症対応が強化されたようで、結構なことです。統計によれば2025年には認知症高齢者が320万人に達する見通しとか、評価される対応といえましょう。さらに若年性認知症へも厚い配慮がされたようで喜ばしいことです。
社会福祉事業に対する行政の支援が縮減の傾向であるなか、ようやくという思いはあるものの、介護報酬がプラス改定されたこに対して、介護福祉事業を担うものとしては率直に謝意を表したいと思います。
翻って、わが愛知育児院の経営理念はご存じの通り仏教精神に基づく「いのちの輝き」です。施設にしろ在宅にしろ、あるいは養護にしろ保育にしろ、0歳から100歳までの人間の「いのちの輝き」を引き出すことがテーマ。介護報酬の改定を受けてそのサービスに益々磨きを掛けることはもちろんですが、そのサービスに「こころ」が欠けてはならないと思うや切であります。
マニュアル通りにサービスを提供することはもちろん必要ですが、逆に言えばマニュアル通りに介護さえすればよいというわけではありません。そこには、仏教精神からにじみ出る思いやりや、優しさや、慈しみ、いわば仏教の慈悲のこころ(意)がなければ、いのちの輝きに巡り会うことはできません。
この「こころ」は、わが愛知育児院のどの施設の事業活動の中にも求められるキーワードだと思います。こうした「こころ」を身に帯して私自身も愛知育児院の運営に努めて参りたいと思います。 合掌
《2009.4.9 理事長・本田眞哉・記》
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